野良猫とワルツを踊った

 

メイドインアビスの映画観てきました

ストーリー・演出・音楽・グラフィック

どれも一級品で非の打ちどころがない。

もはや芸術作品なのでは???

テレビ版から高いクオリティを持っていたメイドインアビスですが

劇場版という事で更に磨きがかかっていたように思います。

ここまでクオリティの高いアニメはそうそう観る事が出来ないと思う。

テレビシリーズのメイドインアビスを見終わった際

めちゃくちゃ続きを観たい衝動にかられたんですが

ストーリーを知ってしまうとアニメで見た時に面白さが半減してしまうという事で

ここまでアニメのクオリティが高いならば

原作よりもアニメで見た方がよいのでは?と思い

二期もやるだろうという想定で原作には手をつけていなかった。

という訳で今回、話の内容は全く分からない状態で観に行ったんだけど

正解でしたね。

これを映画館で観れてよかったと思う。

原作者のつくしあきひと卿をtwitterでフォローしてるので

前々からカートリッジという単語を見かけたりしていたし

なんとなく内容は予想出来ていたんだけど

あらゆる意味で想像以上でした。

 

ボンドルドの登場シーンの絶望感あふれる演出も良かった。

オーゼンの不動卿という通り名については

なぜその名前がつけられたのかという描写もなかったんだけど

今作のキーキャラクター、ボンドルドの通り名である黎明卿という名前については

映画のタイトルにもつけられているし

娘のプルシュカの名前が夜明けの花を意味する言葉である事や

「夜明けを共にみましょう」というボンドルドの言葉

「夜明けがみたい」というプルシュカの言葉などでも表されており

ストーリーの根幹に関わってくる要素になっている。

 

そしてこのボンドルドのキャラが強烈で

やってる事は最悪なんだけど完全な悪人ではないという所がよい

プルシュカの件について、許せないという感想もあるけれど

本来ボンドルドが助けなければプルシュカはそのまま死んでた訳だし・・

実験の犠牲になった子ども達の名前や、将来の夢を全部覚えている辺り

本当に子どもたちに愛情を注いでいたとも思われる。

戦闘中もレグ達の強さや戦術を素直に褒めあげ

敗北した後も恨み節を吐く訳でもなく

君たちが先に進む事が私の新たな憧れとなったと言って

最後には先に進むレグ達を静かに見送っている。

そもそもこのメイドインアビスの設定に

人々は危険を顧みず、取りつかれたようにアビスを目指すというのがあり

主人公のリコも、もう戻れないのを承知で最深部に向かっているわけで

狂気を感じる程、誰もがアビスに惹かれているというものがある。

ボンドルドもその中の一人で、かつアビスに対する想いが

人一倍強く、歪んでしまった結果こうなったという感じ。

そういう事もあってか、ナナチもボンドルドの事を憎み切れず

複雑な感情を抱いている描写になっている。

 

ボンドルドとプルシュカの出会いの辺りの回想すごく良かったんだけど

前にこのブログでも取り上げた終ノ空素晴らしき日々

呪われた生・祝福された生の話を連想させる所があった。

 

赤ん坊が生まれるんだよ

そう・・その赤ん坊は泣くんだよ

おぎゃ、おぎゃってさ・・

その声を聴いてみんな笑うんだよ

みんな祝福してるんだよ

お母さんも・・

お父さんも・・

そして、その他の人も・・

その赤ん坊の生を・・

祝福するんだ

世界は生の祝福で満たされる

でも、違うんだ

そこで俺は一人恐怖するんだ

恐怖を・・

なぜなら・・

それは、世界を呪っているんだ

確実に・・

世界を呪っているんだ、その生まれたての赤ん坊は

生まれた事を呪っているんだよ

俺はその場で凍りつく

みんな、笑ってる中

祝福の中で、一人で・・

俺は、よろけながら・・

その赤ん坊に近づくんだ

そして、その赤ん坊の泣き声を止めようとするんだ

そして、そうしなければならないと思うんだ

なぜ?

分かんないけど・・

それが、生まれてしまって

無惨に生き続けてしまっている俺の

唯一の償いだと思うんだ

誰に対して?

たぶん、その赤ん坊に対して・・

そして

それ以外の何かに対して・・だと思う

俺は、生まれたての赤ん坊の首を絞めて・・

その人生をそこまでで終わらせようとする

終わらせるために・・

祝福の笑いの中

俺は赤ん坊の首を絞めようと・・

しかし・・

出来ないんだよ

おぎゃ、おぎゃって泣いている赤ん坊の首を

俺は絞められないんだ

 

 

ボンドルドが見つけた時には瀕死の状態で泣いていたプルシュカは

世界を呪っているようにも見える。

終ノ空素晴らしき日々では祝福の中、生まれた事を呪っている赤ん坊に対し

唯一出来る事として赤ん坊の首を絞めようとする。

ボンドルドがやった事はこれとは逆の事で

プルシュカの生を祝福し、大切に育てあげ

最後には自身が祝福を受ける為に呪いを与えるという・・

祝福と呪いというキーワードが共通して出てくる事もあって

この話が凄い脳裏に過りました。

 

プルシュカのキャラの書き方が上手く

テレビ版に出てこなかったキャラクターなのに

最初のレグ達との絡みの場面で既に印象に残るキャラクターになっていて

見終わった後は流石に精神的にくる物があった。

人によっては本当にこの映画観れないんじゃなかろうか・・

これ観るのにコンディションを整える必要があるというか

気軽に観に行くことをためらわれる程には傷跡を残される。

でももう一回ぐらい映画館で観ておきたいので、今月の28日から始まる

4DX上映にも行ってきます・・

最後、プルシュカが白笛になる事で

探窟家の最高の称号でもある白笛をリコが手にするという胸熱展開と

プルシュカの一緒に冒険をしたいという願いが

不本意な形ながら叶えられる事になった所も良かった。

 

映画館出た後に内容のあまりしばらく呆然としていたので

へちま氏にその事を伝えたら

「俺なんも感じなかったわw」と言われました

ボンドルドは僕の隣にいた。