裁きの時が来た ガウガウ

再び出張が再開されました。

これで本を読む時間も増えるかと思うのですが

最近、将棋アマ初段を目指すべく詰将棋などもやっており

いまの本を読み終える目処が立たないので、お茶濁し的に最近観たアニメ紹介します。

小説ベスト3は、歯車書いてる時に思いましたが

話の細かい部分は忘れているので、ブログを更新するのに

また原作を読み直す必要がある。

歯車は短いので良かったんですが、コインロッカー・ベイビーズは長編なので

これまたしばらくは更新出来なさそう感

ちなみに将棋は上達してる気配を感じない・・

思えば僕が一番苦手なのは数字関係。

将棋で必要となるのもそっち系の能力らしいので、そもそも向いてないのだよなぁ

 

 

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という訳で、ユリ熊嵐の紹介です。

少女革命ウテナ、廻るピングドラムなどでお馴染み幾原作品です。

恐らく、一番の代表作ともいえる少女革命ウテナは唯一視聴してないんですが

ピングドラムはほぼリアルタイムで観てたため、その後に放送されたユリ熊嵐も観たんですね。

そして全話視聴したと思いこんでいたんだけど、どうやら頭がバグっていたらしい

最近になって、なんとなくユリ熊嵐wikiを見ていたら

僕が知らない衝撃的な情報が書いてあって、もしかして僕最終話まで見てないのでは?となった訳です。

よく考えればどういう風に終わったのか全く分からない。

・・という訳でほぼ1話から見直しました。

結局、なぜか最後の3話だけ視聴してなかったと判明。

 

タイトルにユリ、とついている通り、題材テーマはキマシタワー

というか徹底的に男キャラが出てきません。

主人公の母親は登場するのに、父親は登場しない程。

しかし、それだけがテーマになっているのではなく

ピングドラムやさらざんまいを観た人なら分かると思うのですが

ユリ熊嵐もこれらの作品と似たようなテーマを持っています。

人と人との絆や愛情、一言でいえば哲学アニメ。

おなじみのミュージカルっぽい独特の演出も健在。

 

そして、熊嵐という名前はどこから来ているのかというと

実際に起きた、人食い熊の事件を元に書かれた「熊嵐」という

小説のタイトルが元になっているとのこと。

アニメ内の世界では、熊が人間の天敵のような存在になっていて

熊と人間を分かつ為の壁まで建造されていたりします。

しかし、なぜかクマは人に化ける事が出来る為

クマの姿のままで出現する事は稀

しかも、クマの姿はデフォルメされた状態で描かれている。

このクマのデザインが秀逸。

 

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サン○オとかにいそう

 

ユリ、特に白百合といえばキリスト教における純潔・聖母マリアの象徴であり

クマから人への変身シーンでは、アヴェ・マリアのアレンジ曲が流れるんですが

この曲がよい

 

 

 

同じくアニメでユリといえば、エルフェンリートのOP曲

Lilium(ラテン語でユリ)を彷彿とさせる。

こちらは海外の聖歌隊で歌われているとかで昔話題になった記憶。

 

そんでもって、幾原作品の特徴である、直接的な描写が少なく

比喩表現等が多いというのはこちらも同じ。

しかし、ピングドラムよりは分かりやすいのではないかと思います。

例えば、ユリ熊嵐では「透明な嵐」という用語が出てきて

これは作品のキャッチコピー、「その透明な嵐に混じらず、見つけ出すんだ」でも使われています。

主人公たちの通う学校では、クマから身を守る為に、常に群れていることが好ましいとされており

空気の読めない目立つ人間は、自分たちを危険にさせると仲間内から排除しようとします。

そして、透明な存在になれと強要する訳ですが、これが透明な嵐。

透明な嵐については、イジメの事であるという解釈が一般的みたいだけど

僕はイジメというより、同調圧力・没個性の強要の方が近いと思う。

なのでキャッチコピーである、「その透明な嵐に混じらず、見つけ出すんだ」は

自分の意見・信念を貫けというような言葉に転換出来るのではと思う。

透明というと、ピングドラムで、選ばれなかった子供は、こどもブロイラーという施設で

透明な存在にされるという話がありました。

 

僕が以前読んだ、マンガで哲学入門みたいな本の中で紹介されていた

ハンナ・アレントさんという哲学者の紹介文に

「集団に取り込まれず、個として生きよ!」と書いてあり

このキャッチコピーに似てるなーと感じました。

この人はユダヤ人であった為、第二次世界大戦時に迫害を受けたそうで

その経験と、ホロコーストに加担したヒトラーの部下が

自分の信念からそれを実施した訳ではないという証言から

思考停止をして、周囲に流されているだけの人間は

いつでも悪人になる可能性を秘めている。という考えを打ち出したそう。

ユリ熊嵐にもこの人の考えがトレースされているのかもしれない。

 

そしてユリ、つまり異端の対象となりやすい同性愛と

人間と熊という異なる種族の絆がテーマになっているのも

このメッセージを伝える為なのではないかと思う・・

そしてもう1つ、ユリ熊嵐が伝えたいだろうメッセージというのがあり

第3話ぐらいの変身シーンで、主要キャラ二人組が主人公の体をペロペロするんだけど(?)

その時にしれっと「スキだけが世界を変えられる」というセリフが出てきます。

「スキ」も頻出する言葉で、一般的な好きという感情だけでは収まらない概念のようだけど

詳しくは分かりませんでした。

そんで、この言い回しは最終話でも使用されていて

「世界はあなたのスキで目覚め、変わっていくものなのですから」

というセリフで物語が終わります。

これは、それまで主人公たちを迫害する側だった少女が、主人公たちの姿に感銘を受け

自らの「スキ」を見つける、という場面を指しています。

ちなみに、今までモブキャラの1人だったこの少女が「スキ」を見つけるシーンで

作品タイトルが表示され、あとは後日談的なシーンが流れるため

実質的にこれが本編のラストシーンとなります。

なので、この作品を通して一番伝えたいメッセージとも思える。

 

この2つのメッセージからし

「周りに流されるな、自分の信念を貫いて生きろ

あなたの行動で世界は少しずつ変わっていく」

という事を伝えたい作品なのでは・・と結論づけて所感終了でございます。

個人的には、ストーリーとビジュアルから

第4話の「私はキスがもらえない」という回が好きで

これが無かったら途中で切ってたかもしれない(どちらにしろ完走してなかったけど)

BD購入するか悩む作品です。