銀河ヒッチハイク・ガイド-宇宙の果てのレストラン

半年ぶりの更新

更新頻度落ちてからも、大体月1では更新していたので

このブログ始めてから最長の更新間隔だと思う。

ちなみに、2009年は332日ブログを書いていたらしい、ほぼ毎日やん・・

そこまで僕を突き動かした原動力が何だったのか、今では忘れてしまいました。

ところで僕は、YUKIのJOYという曲の中に出てくる

「大切な思い出さえ忘れていきそうです」という歌詞が好きです。

という訳で、読書感想文が溜まっています。

正直もうどの本を読んだのかもあやふやですが

とりあえず下書きに残っていたこいつを調理していこう。

 

 

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タグラス・アダムス著の銀河ヒッチハイクガイドです。

実は、この前に「さようなら、今まで魚をありがとう」という本を読んでいた。

その本は、今回紹介する銀河ヒッチハイクガイドシリーズの外伝にあたる話で

本編未読の状態で読んだ僕は当然ながら

よく分からなかったなという印象だけで終わった。

魚を読んだきっかけは、Amazonにレコメンド表示され

単純にタイトルと表紙に引かれたからという

完全なジャケ買い

 

 

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ちなみに、原題の「So Long and Thanks for all the Fish」というフレーズは

英語圏のオフィスで、別れの挨拶のメールなどに引用される事があるらしいです。

 

という訳で、

その後、この本編にあたる、銀河ヒッチハイク

究極の疑問の答え=42というネタがある事を知り

読んでみたい気持ちが高まり、至った訳です。

このネタを知らない人向けに紹介すると

Googleさんで「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」と検索すると

電卓が出てきて、計算結果として「42」が表示される。

あとSiriさんに「人生の意味は?」と尋ねると

「42」という返答が返ってくる(今は機能してないかも)

この元ネタとなる話が、本書で書かれているという事で

スターバックスの元ネタを求め、白鯨を読んだ僕が本書を読むのはもはや必然。

 

元々はラジオドラマが原作らしく、僕は全然知らなかったけど

世界中でベストセラーとなった作品のようです。

こっちではそんなに知名度が無い気がするんだけど

日本ではあまり人気がないだけか

世代の問題で、もう少し上の世代にとっては有名なのか

どっちなのだろうか、、

そこそこ本読んでそうな職場の人も知らなかったみたいなので

僕が知らなかっただけでなく、一般的な知名度は高くないと思うんだけど

ガチ読書家からしたら一般常識だろってぐらいの本ではあると思う。

とりあえず、海外での知名度はかなり高い気がします。

 

この作品を語る上で「バカSF」という言葉が用いられているように

話自体はB級っぽいというか、ドタバタSFアクションという感じ。

なんですが、ザ・イギリスというノリというか

いわゆるブリティッシュ・ジョークの数々が最高。

なので、この辺のノリが大好きな人にとってはたまらない作品だし

受け付けられない人にとっては微妙な作品かもしれない。

ジョークがないと生きていけないって人には一生手放せない本になります。

 

「銀河ヒッチハイクガイド」というのは、作中に登場する

宇宙のありとあらゆる事柄を収めた辞典的なアイテムであり

宇宙版wikipediaのような物。

地球に関しては、データが少なく「無害」としか記載されていなかった。

そこで、銀河ヒッチハイクガイドの調査員が地球に派遣され

15年間調査を進めた結果、地球に関しての記述が「ほとんど無害」になった。

この辺りとか最高で、それに対し地球人である主人公が

たったそれだけか!?と調査員に詰め寄った時の返答もよい。

「銀河系には何千億って星があるし

この本のマイクロプロセッサの容量には限りがあるんだよ」

宇宙の果てしない広さからすると

所詮、地球の存在は「無害」程度の存在でしかないという真理を突いている。

バカSFとされながらも、所々見え隠れするガチめなSF設定もいい。

また、銀河ヒッチハイクガイドの表紙には「パニくるな!」と表記されているらしいんですが

この本の表紙にも「DON'T PANIC!」と書かれているのもよいし

これを「パニくるな!」と訳したセンスもよい。

 

有名な「42」の元ネタとなる話もかなり良くて

・人生の意味について議論する事にうんざりした種族がいた

・その種族はスーパーコンピューターを設計し、この疑問の答えを出させる事にした

・そして「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」をコンピューターに問いあわせた

・750万年の計算の後、返ってきた答えが「42」だった。

・これについてスーパーコンピューター

「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問」が

どんな問いなのかが分からないから、答えの意味も分からないのだと説明した。

・つまり、今度は「究極の疑問」とは何なのかを計算する必要があった。

スーパーコンピューターは自分ではそれを計算するのは無理だと答えた。

・自分の後に現れるコンピューター

つまり、自らが設計するコンピューターならそれが可能だと言った。

スーパーコンピューターはそのコンピューターに名前をつけた

それは「地球」という名前だった。

 

・・つまり地球は究極の疑問を計算する為のコンピューターだったという。

ちなみに、あまりに巨大な為、しばしば惑星に間違えられるという説明もあります。

もうこの話だけでも面白い。

更に、地球はこの本の冒頭で破壊されていて

それが究極の疑問の計算結果が出る5分前だったという、、

Googleがこの42をネタで仕込んでる理由の1つには

更に、電卓上で計算結果として表示させてる理由には

スーパーコンピューターが750万年かかって導き出した答えも

Googleによれば一瞬で答えを出す事が出来ますよという

アピールにもなっているかもしれない。

ちなみに、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」は

僕の読んだ本だと「生命、宇宙、その他もろもろの答え」と訳されていました。

という訳で地球が破壊される際、偶然にも宇宙ヒッチハイクガイドの調査員を

友人に持っていた地球人である主人公が、その調査員と共に地球を脱出し

ドタバタ宇宙トラベルを繰り広げるという・・

僕はとりあえずこの続編である「宇宙の果てのレストラン」まで読んだ。

 

 

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この内容まで説明すると流石に疲れるので、今回は最後の引用に留めます・・

ちょっというと、失われてしまった究極の疑問を得る為の試みが行われる話。

ここまで読んだところだと主要人物が4人います。

 

■アーサー・デント

地球人、おそらく主人公。

自身の家がバイパス建設の為に取り壊される事になり

工事を中止させる為に、ブルドーザーの前に寝転ぶところから話が始まる。

そんな時、友人であるフォード・プリーフェクトに飲みに誘われ

断り続けるも、フォードによる説得の末、彼と飲みに行く事になるが

帰ってきた時には彼の家は既に取り壊されていた。

その後、地球そのものが超空間高速道路の建造の為に破壊されてしまう。

 

■フォード・プリーフェクト

ベテルギウス付近の惑星出身の宇宙人で、銀河ヒッチハイクガイドの調査員。

地球の調査の為に、素性を偽って15年間地球に潜伏していた。

名前は偽名で、調査の結果、平凡な名前だと思って名付けたが

これはイギリスの自動車メーカー、フォードが販売していた

プリーフェクトという車種が元になっているので

日本で例えると、トヨタ・カローラみたいなとんでもない名前になっている。

ベテルギウスには皮肉が存在しないので、彼にも皮肉が通じない。

地球が工事で破壊されるという情報を事前に入手し

アーサー・デントと共に地球を脱出する。

 

■ゼイフォード・ビーブルブロックス

銀河帝国大統領。

銀河系全ての頂点に立っているかのようであるが

実際の権力は何もなく、ただのお飾りでしかない。

本書での紹介によると

「冒険家、元ヒッピー、プレイボーイ

正気を疑うほどの自己顕示欲の塊、人に合わせるということがまったくできず

頭のネジが完全に飛んでいるとさえしばしば評される男」

陽キャで一行のリーダー的ポジション。

 

■トリシア・マクラミン

リリアンと呼ばれている地球人の女の子。

アーサーとは以前パーティーで面識があり

彼女に一目ぼれしたアーサーがトリリアンにアタックをするが

その時地球を訪れていたゼイフォードが横から入ってきてそれきり会えなかった。

宇宙空間に放り出されたフォードとアーサーを偶然宇宙船で拾い

ゼイフォードと共に地球を出て宇宙に行っていた事が明らかになる。

 

というかダメだ、読んでから間が空きすぎてこれ以上キャラの詳細が書けないです。

やっぱ読み終わってすぐやらないとダメだねこれ・・

このシリーズは、作中に出てくるフレーズが

続編のタイトルになってたりする所も面白い。

恒例のコーナーやって終わり

 

 

銀河ヒッチハイク・ガイド

星図にも載っていない辺鄙な宙域のはるか奥地

銀河の西の渦状腕の地味な端っこに

なんのへんてつもない小さな黄色い太陽がある。

この太陽のまわりを、だいたい1億5千万キロメートルの距離をおいて

まったくぱっとしない小さい青緑色の惑星がまわっている。

この惑星に住むサルの子孫はあきれるほど遅れていて

いまだにデジタル時計をいかした発明だと思っているほどだ。

 

 

そんなこんなのある木曜日のこと。

たまには人に親切しようよ楽しいよ、と言ったばかりに

ひとりの男が木に釘付けにされてから2千年近く経ったその日

リクマンズワースの小さな喫茶店に座っていたひとりの若い娘が

いままでずっとなにがまちがっていたのかふいに気がついた。

そしてやっと、世界を善にして幸福な場所にする方法を思いついた。

今度の方法は確実で、きっとうまく行くはずだったし

だれかがなにかに釘付けにされる心配もなかった。

 

ところが悲しいことに、電話をかけてそのことを人に伝えるひまもなく

恐ろしくも無意味な災厄が襲ってきて

彼女の思い付きは永遠に失われてしまった。

 

 

テーブルの真ん中には、ジャンクス・スピリット

(オリオン座星域の古い鉱山歌に歌われて名高い酒だー

「もう注いでくれるな、ジャンクス・スピリット

頼む、もう注いでくれるな、ジャンクス・スピリット

頭はぐらぐら、舌はれろれろ、目玉はぐるぐる、おれはめろめろ

頼むから注いでくれもう一杯、罰あたりなジャンクス・スピリット」)

のボトルを置く。

 

 

「だけど、あの男は信用できるのか?」

「ともかく、ぼくは信用できると思うね。

少なくとも地球の終わりまでは」

「なあるほど」とアーサー。

「で、それはどれぐらい先の話なんだ?」

「だいたい12分後だ」とフォードは言った。

「行こう、飲まなきゃやってられない」

 

 

ギャラクティカ大百科』の「アルコール」の項には

アルコールは無色の揮発性液体であり

糖分の発酵によってできると書かれている。

そしてまた、特定の炭素系生物に酩酊作用をもたらすとも特記されている。

銀河ヒッチハイク・ガイド』にもアルコールの項目はある。

それによると、この世に存在する最高の酒は

汎銀河ガラガラドッカンである。

この酒を一杯飲むのは、スライスレモンに包んだ大きな黄金のレンガで

脳天をかち割られるようなものだという。

 

 

地球がまるごとなくなったという衝撃は

あまりに大きすぎて彼の頭ではとても把握しきれなかった。

感慨を呼び覚まそうと、もう両親も妹もいないのだと考えてみた。

反応なし。

親しかった人たち全員のことを思い出した。

反応なし。

そこで、二日前にスーパーの列ですぐ前に並んでいた

赤の他人のことを思い出してみた。

胸がずきんと痛んだ。

あのスーパーも、そこにいた人たちもみんな消えてしまったのだ。

ネルソン記念柱もだ!

ネルソン記念柱が消え失せたのに、それを嘆く声もない。

なぜなら嘆く声をあげる人間がひとりも残っていないからだ。

これからは、ネルソン記念柱は彼の記憶のなかにしか存在しない。

そして彼の記憶は、このじめじめした

臭くて鋼鉄むきだしの宇宙船に閉じ込められている。

閉所恐怖が波のようにのしかかってきた。

 

イギリスはもう存在しない。

それはわかったー

なぜだか実感できた。

別のを試してみた。

アメリカも消えた。

これはうまく呑み込めなかった。

もうちょっと小さいところから始めることにした。

ニューヨークも消えた。

反応なし。

まあだいたい、彼にとってニューヨークは夢物語みたいなものだったし。

ドルは二度と復活することはない。

かすかにうずくものがあった。

ボガートの映画は二度と見られないのだとつぶやいてみたら

したたかにぶん殴られたような衝撃があった。

マクドナルドもだ。

マクドナルドのハンバーガーなんてものは、もうどこにもないのだ。

気が遠くなった。

すぐに我にかえったが、気が付いたら母親を思ってすすり泣いていた。

 

 

「まだ死にたくない!」彼は叫んだ。

「いまは頭痛がするんだ!

頭痛を抱えて天国には行きたくない

せっかく天国に行ってもずっと暗い顔をしてなくちゃならないじゃないか!」

 

 

アーサーはしばらく耳を傾けていたが

フォードの言うことはほとんどちんぷんかんぷんだったので

いつのまにか聞くのをやめて別のことを考えはじめていた。

なんに使うのかわからないコンピューターがずらりと並んでいて

そのふちを指でなぞっているうちに

手近のパネルに大きな赤いボタンがついているのに気づいた。

それがいかにも押してくださいと言っているようで

なんの気なしに押してみた。

パネルがぱっと明るくなり

「このボタンを二度と押さないでください」と表示された。

アーサーは身ぶるいした。

 

 

「地球人(アースマン)、わかっててやったのか?」

「いやぼくはただ......」

「ものすごく冴えているじゃないか。

1秒だけ不可能性ドライブのスイッチを入れたんだな

先に耐不可能性シールドを起動せずに。

わかってんのか、おまえはおれたちの命を救ったんだぞ」

「いや、そんな大層なことじゃないし......」アーサーは言った。

「なんだそうか。」とゼイフォード。

「じゃあいいや、この話はなしだ。

よしコンピュータ、着陸するぞ」

「いや、その......」

「この話はなしだって言ったろ」

 

 

興味深いことに、イルカたちは惑星・地球の最期が迫っていることに

早くから気づいていて、人類に危険を知らせようと数々の努力をした。

しかし、いくら努力しても、おいしいおやつ欲しさに

サッカーボールを突いたり笛を吹いたりして

愉快な曲芸をしているというふうに誤解されたので

イルカたちはしまいにあきらめて、ヴォゴン人がやって来る直前に

独自の手段で地球をあとにした。

イルカが最後の最後に残したメッセージは、米国国歌を笛で吹きながら

後方2回転宙返りをして輪をくぐるという

あっと驚く高度な曲芸と誤解されたが、ほんとうはこういう意味だった

さようなら、いままで魚をありがとう

 

 

ディープ・ソートは言った。

「深遠なる疑問の答えは......」

「答えは......!」

「生命、宇宙、その他もろもろの答えは......」とディープ・ソート。

「答えは......!」

「答えは......」ディープ・ソートは言い、また口をつぐんだ。

「答えは......!」

「答えは......」

「答えは......!!!......?」

「四十二です」

ディープ・ソートは、はてしない威厳をこめ

あくまでも落ち着きはらって答えた。

 

 

主要な銀河文明の歴史には例外なく

それぞれ明確に異なる三つの段階が認められているようである。

すなわち、生存、疑問、洗練の三段階であるが

これはまた、いかに、なぜ、どこの段階とも呼ばれている。

たとえば、第一段階に特徴的な問いは「いかにして食うか」であり

第二段階の問いは「なぜ食うのか」であり

第三段階の問いは「どこでランチをとろうか」である。

 

ここまで読んだところで、船のインターホンが沈黙を破った。

「よう地球人、腹減ってないか?」ゼイフォードの声が言った。

「ええと、そうだな、ちょっと小腹がすいたような気もするな」アーサーは答えた。

「よし、そいじゃしっかりつかまってろよ」とゼイフォード。

「軽く腹ごしらえとしゃれこもうぜ。

行き先は"宇宙の果てのレストラン"だ」

 

 

■宇宙の果てのレストラン

ヴォーテックスに放り込まれると、ほんの一瞬だが

想像を絶する無限の森羅万象の全体を見せられる。

その森羅万象のどこかにほんとうにちっぽけなしるし

顕微鏡的な一点のうえの顕微鏡的な一点があって

そこに「これがあなた」と書かれているのだ。

 

 

「おいなんだよ、今日は最後の審判の日か?」ゼイフォードが噛みついた。

最後の審判も見ることになるのか?」アーサーは不安になって尋ねた。

 

 

宇宙ー

そこで生きていくのに役立つ情報をいくつか。

 

1 面積-無限

銀河ヒッチハイク・ガイド』では、「無限」の語を次のように定義している。

無限ー

かつて存在した最大のものよりもっと大きい。

ずっと大きい。

じつに感動的に広大である。

完全に腰が抜けるほどの空間で

まさに「うっひゃあ、こりゃでっけえや」な時間である。

無限はとにかく滅茶苦茶に大きいので

大きいという概念すらそれにくらべるとちっぽけに思える。

"巨大"に"広大無辺"をかけ

さらに"とてつもなく莫大"をかける感じといえば近いだろう。

 

 

その銃をデザインした人物が

ずばり要点をつけと指示されていたのはまずまちがいない。

「凶悪なデザインにしろ」と。

「この銃には安全な先端と危険な先端があるとはっきりわかるようにしろ。

その危険な先端の前に立った人間が

これは絶体絶命だとはっきりわかるようにしろ。

そのために、とげやら爪やら黒ずんだ歯やらを

全体にくっつける必要があるならくっつけろ。

これは暖炉の上に飾る銃でもなければ

立てに突っ込んでおく銃でもない。

持ち歩いて他人を不幸にするための銃だ」

フォードとアーサーはその銃を見て悲しい顔をした。

銃を持った男はなかに入ってきて

ふたりのまわりを一周した。

光の当たる場所に出てくると、黒と金色の制服姿なのがわかった。

制服のボタンはぴかぴかに磨きたてられて強烈に輝いている。

これで道を歩かれたら、近づいてきた車の運転手は

まぶしがってパッシングしてくるにちがいない。

男はドアのほうを身ぶりで示した。

「出ろ」彼は言った。

火力が足りていれば言葉は足りなくてもかまわないのだ。

フォードとアーサーは外へ出た。

そのすぐあとから、キロザップ銃の危険な先端と

ぴかぴかのボタンがついてくる。

 

 

「それじゃ、もうすぐ着陸するんですか」アーサーは言った。

「いや、着陸っていうか、着陸っていうのとはちょっとちがって

つまり......えー......」

「なにが言いたいんです」フォードが尖った声で尋ねた。

「つまりその」船長は慎重に言葉を選びながら

「わたしの憶えているかぎりでは

この船は墜落するようにプログラムされてたと思う」

「墜落?」フォードとアーサーが声をそろえて叫んだ。

「うん、そうなんだ」と船長。

「そう、これはみんな計画されてることだったと思う。

それにはしごくもっともな理由があったんだが

いまちょっと思い出せないな。

たしか......えー......」

フォードは怒りを爆発させた。

「あんたらは糞の役にも立たないノータリンの集まりだ!」

「そう、それだ」船長は顔を輝かせた。

「それが理由だった」

 

 

「ウルー、グルル、グルル、グルー!」

原住民は執拗にうなり、岩を叩き続けている。

「どうしてずっと岩を叩いてるんだろう」アーサーは言った。

「きみとまたスクランブルがやりたいんじゃないのかな」フォードは言った。

「ほら、文字を指さしてるぜ」

「またクルジュグルドゥルディゥドクを綴ろうとしてるんだろう

しょうがないな。

クルジュグルドゥルディゥドクにはgはひとつだけだってずっと教えてるのに」

原住民はまた岩を叩いた。

ふたりはその肩ごしに岩をのぞき込んだ。

目が飛び出しそうになった。

ごちゃごちゃの文字のなかに、八つの文字が明らかにまっすぐ並んでいた。

それはふたつの単語だった。

そのふたつの単語とはこれだー

「FORTY TWO (四十二)」