Heidenröslein

久しぶりの更新、恐らく年内最後。

 

読書感想文ダルすぎたのでtwitterに投げました。

点数だけ挙げていく予定だったけど、あまりに味気なさすぎるので

最近は一言コメント程度の感想も添える感じになってます。

出来るだけ読了後すぐのフレッシュな感覚で点数をつけるようにしているけど

後からやっぱり点数つけすぎたなとか、もう少し点数高くても良かったなと思ったり

どの程度の点数にするか悩んだりとウダウダやっている今日この頃。

 

 

今日の本題

 

奥田民生「野ばら」の歌詞を紐解いていこうのコーナー

兄の影響で小さい頃から洋楽を聴いてきたからか

僕は曲を聴くときに、歌詞よりもメロディに惹かれるタイプで

特に歌詞の意味を考察したり深堀りする事もないんだけど

今回取り上げる野ばらの歌詞は直接的すぎず、かつ分かりやすい内容で

深堀りする事で国語の授業っぽくなりそうだと思ったのでやってみます。

ちなみに、本人も歌詞にはそこまでこだわらない人みたいです。

(その割にはストーリー性のある歌詞やユニークな表現が目立つ)

 

まず曲の紹介

 

 

公式がyoutubeにMVをあげているけれど

曲も服も映像も超シンプル

このシンプルさゆえに、氏の曲中でも人気の高い曲となっています。

では歌詞を順に解説してみましょう。

 

雲行きが気になって見ていたら

君んとこは昨日から下り坂

 

普通に読むと、天気が悪くなりそうな雲行きで

その雲を見ているんだなという感想。

 

しかし「君んとこは昨日から下り坂」という部分に注目すると

近い地域で昨日の天気が変わるとは思えないので

「君んとこ」はある程度離れた地域だという事が分かります。

そして、自分が住んでいる地域では、昨日の天気は良かったとも予測される。

 

ただ、雲を見れば、この後の天気はある程度予測がつくかもしれないけれど

離れた地域の昨日の天気まで遡って予測するのは難しいと思われる。

 

まだ空には星光ってる

風は西からひゅう

 

 「もう」ではなく「まだ」空に星が光っているという事から

夕方や宵時ではなく、早朝(5時ぐらい?)の時間帯である事が予想されます。

 

 「風は西からひゅう」という部分を、先程の歌詞と照らし合わせると

「君んとこ」は西に位置していて、風に乗ってやってくる雲が雨雲だったから

「昨日から下り坂」という予想をしたと考える事も出来る。

また、ここはMAZDAのCM曲にもなっている「風は西から」を彷彿とさせる。

 

西から吹く風といえば偏西風が思い起こされるし

実際に、偏西風の影響で天気は基本的に西から東へ変わっていくとされている。

 

しかし、僕はこの説に待ったをかけたい。

それにしては予想が具体的過ぎるのではないかと

「昨日」と日にちまで断言しているし「から」とある事から

この先もしばらく天気は悪くなるような含みを持たせている。

素人の予想でそこまで分かるのかという疑問が残ります。

 

天気予報の確率が高まれば

君の機嫌がある程度わかるのだ

 

ここでいう「天気予報」は、自身の天気予報と捉える事も出来るけれど

あまりに具体的な予報と、早朝の時間帯という事もあって

素直にテレビの天気予報だと考えられる。

すると、最初の歌詞の「雲行きが気になって見ていたら」は

雲を見ていたのではなく、天気予報を見ていたと考えられます。

つまり行間が抜けていて、正確には

「雲行きが気になって(天気予報を)見ていたら」となるのではないかと。

 

ただ、天気が西から東に変わるというのと

「風は西からひゅう」とわざわざ歌詞にしてる辺り

「君んとこ」が西に位置しているという予想は合っているのではないでしょうか。

 

「君の機嫌がある程度わかるのだ」という部分をそのまま捉えると

「君」は天候で機嫌が左右されやすい人なのか?という感想。

 

と そういうわけには いかないかなあ

いい調子でやってるかなあ

 

直後に「そういうわけにはいかないかなあ」という独白

特別天気で機嫌が左右されやすい人という訳ではなさそうです。

「いい調子でやってるかなあ」と続くところからも

天気を通じ、「君」の心情に寄り添い合いたい

「君」が今何を感じているかを知りたいといった気持ちが読み取れます。

 

机に野ばら飾って暮らす

たまにはサンダーが小雨を降らす

 

ここで曲名にもなっている「野ばら」が登場。

「野ばら」といえばゲーテの詩が有名で、日本語表記も全く同じ。

ゲーテの野ばらは、ゲーテが恋をした相手に捧げられた詩である事から

「君」と主人公の関係性も、離れて暮らす恋人や夫婦なのではなく

主人公が一方的に「君」の事を想っている

またはかつての恋人同士というような関係と思われます。

(そうじゃなければ気軽に「今何してる?」って連絡出来る筈)

 

ゲーテが自身の想い人を野ばらに譬えたように

この歌の中でも「野ばら」は「君」の象徴であり

「君」と離れていても「野ばら」を机に飾る事で

少しでも「君」の事を近くに感じたいという主人公の気持ちが読み取れる。

 

ちなみに、椎名林檎が歌っているシューベルト作曲の野ばらが

中二ホイホイな感じで恰好いい。

 

 

本題復帰

 

君の声を欲しがってる 風が強くなるびゅう

机に野ばら 飾って暮らす

たまにはサンダーが小雨を濡らす

 

ここで「君の声を欲しがってる」とより強い気持ちが吐露されます。

「まだ空には星光ってる」に対して韻を踏んでる形にもなっている。

 

ときにウィンターは せつないけれど

そばにあんたが いないのだけど

 

 続いて、今まで「サンダー」とされていた部分に

「ウィンター」「あんた」という言葉で韻を踏んでいる

曲調からは「気ままにいこうぜ」的な雰囲気を感じさせるけれど

君が近くにいないから冬の寒さがより身に染みるというような

切なさを感じさせる歌詞で終わっています。

 

サンダー、雷といえば夏の物というイメージが強いけれど

日本海側、特に北陸地方では冬でも雷が多いようで

雷の発生数全国1位は石川、2位は福井、3位は新潟というように

北陸地方に集中しています。

この事から、曲中の彼は北陸地方に住んでいるのかという予想も出来るけど

「ときに」とあるように、同じ時間軸で地続きとも限らない。

 

そして曲を通して「下り坂」「サンダー」「小雨」「風が強くなる」と

悪い天候ばかりが歌われている。

これも曲調とは相反しているように思われますが

主人公の寂しさや切なさという心情を反映した物かもしれない。

 

簡単にまとめると、この曲は

「遠くにいる大切な人を想った曲」という事で