恋に至る病

絶賛出張中です。

ホテルでする事もないので読書感想文をやっていきませう。

という訳で、現在Mac bookで執筆してます。

この間Skypeで通話をするのに引っ張ってきてからちょいちょい触るようになった。

その内、Linuxとかインストールして遊ぼうかなと

しかし、この勝手に入力中の文字を変換していく独特の感じが慣れない・・

インテリジェンス力を感じるところではあるけど

変換してほしくないところも勝手に変換されていくのはなんだか・・

更に違う変換をされた時のイライラが結構デカい

あと日本語入力と英語入力の切り替えをワンボタンで出来ないのも致命的

まぁ、設定で変更できるのかもしれませんが・・

あとMacだとブログの壁紙グチャグチャに表示されるのね。

 

 ところで本題。

今回紹介するのは、斜線堂有紀著の「恋に至る病」

 

 

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「お医者様でも草津の湯でも惚れた病は治りゃせぬ」という言葉がありますが

この題名の元ネタとなっているのは「恋の病」というよりも

死に至る病」であることは明確。

この題名が「死に至る病」のパロディとなっている事を気付いた人の中でも

更に分類がされる。

エヴァンゲリオン拾六話のタイトル「死に至る病、そして」を知っている人

セーレン・キェルケゴールの「死に至る病」を知っている人

上記を両方とも知っている人。

最も、エヴァのタイトルを知っている人は

そのタイトルの元ネタが「死に至る病」という哲学書らしいという事まで

知識として入っている可能性は高いし、僕もその人間です。

さらに、その「死に至る病」の元ネタは新約聖書にあって

ラザロという男が病で倒れたという話を

ラザロの友人であるキリストが聞きつけた際に

キリストが「この病は死に至らず」と言った話に由来しており

その後、実際にはラザロは死んでしまうんですが

キリストが奇蹟で復活させます(ラザロの復活)

罪と罰において、ラスコーリニコフがソーニャに

このラザロの復活の場面を朗読させる件があり

罪と罰の読書感想文にて、このラザロの復活をどこかで見た気がするけど

どこで見たのか思い出せない、白鯨だろうかと書きましたが

死に至る病の説明で見かけたのだった。

 

そして、キェルケゴール(名前が独特すぎる)は

仮にラザロが復活しなかったとしても

キリストの価値観では、彼は死んだ事にはならないだろうとします。

何故なら、ラザロがその時は復活したとしても

人間である以上、いずれは死を迎える運命にある訳だし

実際には、ラザロは病で肉体的な死を迎えている訳です。

ならば、キリストが「この病は死に至らず」と言ったのには

別の意味があると解釈しました。

すなわち、キリストは肉体的な死を「死」として捉えているのではなく

精神的な死を「死」として捉えているのだと。

この精神的な死こそは絶望であり

絶望こそが「死に至る病」なのだという事で その題名が付けられたそうです。

 

その為、聖書の世界観を物語のベースにしているエヴァ

タイトルにこの「死に至る病」を持ってきたのは

キリスト教的価値観を下地にした別作品のタイトルを引用するという

かなり分かりにくい聖書の引用方法だった訳です。

ちなみに、僕はこの「死に至る病」の詳細についてこの漫画で知りました。

 

 

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著名な哲学者の教えが分かりやすく解説されていてかなりオススメです。

ちなみに「死に至る病」では、絶望せずに生きていくにはどうすればいいか

絶望にはどんな種類があるのかなどが語られているそうです。

 

全然読書感想文が始まりませんが

要するに、以前からなんとなく知っていた死に至る病について

この漫画きっかけで興味が湧き

実際に読んでみようと、Amazonで「死に至る病」を検索した訳です。

そうしたら検索ワードに引っかかって出てきたのがこの「恋に至る病」

気づけば僕は「死に至る病」ではなく、この「恋に至る病」をポチッていました・・

 

という訳で、作者の詳細も作品の詳細もよく分からず買った訳なんだけど

どうもTikTokで有名になった作品らしい。

なぜTikTokで本が有名になるのかよく分からないんだけど

(僕の中ではよく分からないおバカショートムービーが溢れているという認識)

最近では筒井康隆さんの「残像に口紅を」という昔の作品が

TikTokきっかけでまた売れ出したという話も聞いた事あるので

なんかそういうのが流行っているのかもしれない。

 

なので、届いた本の帯に「TikTokで話題沸騰!」みたいなのが書いてあったんだけど

正直、TikTokやってる人は知能指数が低いという偏見があるので

この時点で作品がめちゃくちゃ陳腐な物に思えてきた。

TikTokに限らず、SNSで話題沸騰!みたいなの書いてあると

なんか陳腐な物に思えてしまうんだけど(Twitterやっといてアレですが)

TikTokで話題沸騰!は個人的にそれの最上級になる。

しかも、内容が参加者を最終的に自殺に追い込ませる

「青い蝶(ブルーモルフォ)」というゲームが日本中を震撼させるみたいな

ゲームの名前も厨二くさくていかにも中学生が好みそうな物だったし

簡単なミッションをこなさせていって

最終的に自殺させるなんてそんな上手くいかねーだろJKとか思ってた。

 

が、「青い鯨(ブルー・ウェール・チャレンジ)」という

実際にあった事件がモデルになっていた事を知って

なんかすいませんでした......という気持ちになったのでした。

形態としてはミステリーにあたるんだけど

犯人が誰かっていうのは1ページ目にもう書いてあるし

Amazonの作品紹介ページにもデカデカと書いてあるので

謎の本題になっているのは犯人が誰かではないし

犯人の動機は何かっていうのでもない。

じゃあその本題は何かっていうと

著者のあとがきにあるんですが、ネタバレになりそうなので

詳しく書けない......

あれ、ミステリーって読書感想文にかなり不向きなのでは?

 

とりあえず、主人公、宮嶺望の小学生時代から物語が始まります。

転校してきた主人公に優しくしてくれた女の子が寄河景。

冴えないタイプの主人公とは違って

寄河景は才色兼備超ハイスペック人間であり

クラスの中心的人物でした。

つまり犯人はこの寄河景です。

ある事がきっかけで2人の仲が深まる訳ですが

その様子が気に食わないクラスの男子に、主人公がイジメられるようになります。

イジメ行為はどんどんエスカレートしていく訳ですが

ついに寄河景もそのイジメについて知る事になる。

そして、主人公に「私に任せて」と言った後

主人公の事をイジメてた男子が自殺で亡くなる。

主人公は、寄河景が彼を殺したんだと察する。

 

そして中学に進学し、別のクラスになった事で疎遠となっていた

主人公と寄河景。

しかし、修学旅行の自由行動の際に、みんなとはぐれてしまった折に

偶然、寄河景と出会い二人きりになる。

(最後まで読めば本当に偶然だったのか?という疑問を抱くポイント)

そこで、主人公が思いきって彼を殺したのか聞いてみると

あっさりと「そうだよ」と認める。

そんなこんなあって、ひょんな流れで主人公が寄河景に

「私のことをどう思ってる?」と聞かれた際に

「好きだよ」と答え「私も好き」っていうアレになる。

が、主人公は寄河景が自分の事を好きと信じられない。

すると、「じゃあ証拠を見せる」と

高台のある広場で待ち合わせをする事になる。

何が始まるんです?

二人の目の前で男子高校生が飛び降り自殺をしました。

 

タイトルの「恋に至る病」とは

寄河景に関わった人間(ゲームの参加者含め)がもれなく彼女に対し好意を抱き

まるで寄河景に恋をしたかのような状態に陥るという所から来てます。

この話の本題になっている謎については、作中で明確な答えが明かされてません。

答えの鍵となるものは作中にちらばめてあるとの事ですが

そこから読み取れる事実を整理しても

得られる答えは、あくまで読者の想像の産物に過ぎない。

 

という事で、謎の本題がちょっと想像しなかった所にあったのと

実際にあった事件をモデルにしているという事で

最初抱いた印象よりも面白い作品だったと思います。

この作者さんはミステリー物の作品をメインで書いてるみたい。

Twitterメタルギア小島秀夫監督をフォローしてるんだけど

小島秀夫監督が結構頻繁に小説を紹介していて

この人の別作品も紹介されていてちょっと気になりました。

 

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しかしウサギと遊園地の組み合わせは、サイレントヒルのロビー君を彷彿とさせる。

今回、印象に残ったフレーズはなかったので、引用コーナーはなしとします。